2004年07月09日

ハンバーガーの甘い罠

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今日のアメリカではパンに挟もうが挾ままいが焼いた小判型の牛挽肉をハンバーガーと呼ぶことになっております。

ところが最近では、ただの挽肉までもハンバーガーなんて呼んだりするのですよね。

アメリカのスーパーマーケットでよく見かける商品に「HAMBURGER HELPER」というものがあります。これハンバーガーヘルパーと言ってもハンバーガーを作る調味料じゃあないのですよ。早茹でパスタとソースの素が入っていましてね、フライパンで炒めた牛挽肉に、そのパスタとソースの素と水を入れて火にかけると...挽肉パスタみたいなものができるのです。

えらい簡単に作れるので一人暮らしの学生なんかには重宝していますね。コリスインでバイトしていた学生たちも「昨日何喰ったの?」と聞くと「ハンバーガーヘルパー」ってよく答えていました。

この「ハンバーガーヘルパー」のハンバーガーはどう考えても挽肉を指していますよね。決して「みんなにバクバク食べられちゃって可哀想なハンバーガーちゃんを救うために、挽肉を使って他の料理を作るんだ。オーイエー!」なんて意味で付けられた名前ではないはずです。

あ、ピザなんかでもそうですよ。

ピザのトッピングでもハンバーガーってあるんです。大型チェーン店など大抵のピザ屋では手で飴玉くらいの大きさに丸めた牛挽肉が乗っているのですが、個人経営のピザ屋などではそのまま牛挽肉がパラパラパラリとちりばめてあったりします。「えっ、トッピングでハンバーガー!?うひょー豪華じゃーん」なんて注文すると悲しいことになるので御用心です。

これってアメリカの中華料理店で「うっひょー、ペッパーステーキだって!スパイシーでウマそー!」なんて注文したら、チンジャオロースが出てきちゃったときの悲しさに似ていますね、はい。
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2004年07月04日

ホンマのハンバーガーをみせちゃる(3)

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「どうぞこちらよ」

「へ〜、良いアパートだね」と言いながら案内されたキッチンに入ってきたお兄ちゃんは両腕に抱えたスーパーの紙袋からひとつひとつ食材を取り出しキッチンカウンターに並べだしました。

グラウンドサーロイン
スイートオニオン
レタス
トマト
ハンバーガーバン
ピクルス

「調味料は揃っているから、いらないから」と事前に電話で伝えておきました。お兄ちゃんはスパイスラックを見て「おぅ、完璧だね!」と彼女にウインクをひとつ。そして、お兄ちゃんは玉ねぎをみじん切りし始めました。彼女はキッチンカウンターの反対側に腰掛けて、そんなお兄ちゃんの仕種を眺めていました。

その真剣な顔はいつもカフェテリアでバカ話やスケベ話をしている時とは別人のようです。すごくかっこいいです。やっぱり大きなホテルのレストランで毎晩数多くのお客を相手にしているこの人って...実はすごく腕の良い料理人なんだろうなぁなどと考えていると、お兄ちゃんがスパイスラックに手を伸ばしました。

カチャカチャとラベルを確かめて手にとったのはブラックペッパーでした。それをパッパッと肉に振りかけて、次のスパイスに手を伸ばし...あれ?伸ばさないぞ...

「ねえ他のスパイスは?使わないの?」
「うん、ペッパーだけだよ」
「でも、ほらオールスパイスとかタイムとか」
「いらない、ほら、本物のハンバーガーを作るって言ったじゃないか。本物は塩とペッパーしか使わないんだよね。はぁ〜ん」
「.....はぁ〜んじゃないわよっ!」
「え?」
「使ってったら使ってよ!」
「い・や・だ。俺は伝統的なハンバーガーを作るんだよ!」
「ムッキィー!(怒)」
「ふん!!(怒)」

結局、他のスパイスは使わずにおにいちゃんはハンバーガーを完成させました。そして二人とも殆ど会話することなく黙々とそのハンバーガーを食べ、しばらくするとおにいちゃんは気まずそうに「それじゃ」とひとこと言って帰っていきました。

何日かしてオレは彼女にその話を聞いたのですが...

「でもウマかったんだろ、そのハンバーガー」
「うん、まあね」
「それに伝統的なハンバーガーってほんとに塩胡椒しか使わないんだろうしさぁ」
「違うもん」
「え?」
「デルモニコのハンバーガーはナツメグとか入ってるんでしょう」
「お、よく知ってるな」
「コリスケが教えてくれたんじゃん、この前」
「.....あ...あーっ!」

オレったら知らないうちに、人の恋路を邪魔してたみたいです。
posted by コリスイン at 12:00| コリスケ

2004年06月21日

ホンマのハンバーガーをみせちゃる(2)

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ちょっと横道にそれましてハンバーガーの歴史なんかを話してみましょうか。

タルタルステーキってありますよね。生の牛肉をたたいて、卵や玉ねぎ、ピクルスなどを混ぜる料理ですが、それを焼いたものがハンバーグの元といわれています。その焼きタルタルステーキをドイツ移民がアメリカに持ち込んだのは1800年代の後半です。当時はドイツの港町の名前をとってハンブルグステーキと呼ばれました。

レストランのメニューに登場するのは1884年、NYのデルモニコレストランでのことです。はい、まーた出ましたデルモニコレストランです。もう何かアメリカ料理の歴史を調べると必ずこの店が顔を出す感じですよねぇ。どこにでもデルモニコなーんてね...ケホケホ。

え〜、デルモニコではハンブルグステーキではなくアメリカ風にハンバーガーと呼ばれました。でもこれ名前はハンバーガーですが日本のハンバーグのように主菜のひとつとして出されたそうですよ。数年後にハンバーガーはパンに挟まれまして手軽に食べられるようになり、アメリカ全土にバクハツ的に知れわたることになります。

それ以後、パンに挟まったものが一般的にハンバーガーと呼ばれるようになったのですが、デルモニコのハンバーガーは「パンで挟むだとぉ!そんな下品なものは客に出せん!」と海原雄山のごとく、あくまでも皿に乗った料理として客に出され続けたそうです。(現在ではパンに挟んだハンバーガーを出していますよ)

というもの名前が紛らわしいという理由で、パンに挟まれていない「おかずハンバーガー」は「SALISBURY STEAK」という形で、そのレシピが一般の家庭に広まっていきました。イギリスの栄養学者J.H.SALISBURYさんが牛の赤身肉が体に良いと主張して、そのレシピが流行ったことが名前の由来だと言われてます。また、この料理はアメリカの学校給食の定番メニュー、そしてTV番組「サウスパーク」のシェフの得意料理としても有名ですよね。

うちでは名前が似てるので「サルスベリステーキ」って呼んでいます。
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2004年06月10日

ホンマのハンバーガーをみせちゃる(1)

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オレの友だちのことなんですけど、こんな話があります。

彼女がNYのセントラルパーク沿いのホテルで研修していたときに、そのホテルのレストランでシェフをやってるお兄ちゃんと友だちになりましてね。ある日マクドナルドで一緒にハンバーガーを食べていると、そのお兄ちゃんが「ねえ、こんな屑肉を機械で練っただけのハンバーガーじゃなくて、本物の美味しいアメリカンハンバーガーを食べてみたくない?僕が作ってあげるよ...君ん家で」と彼女に言ったそうなんです。ま、かーなーり下心もあったようですが(笑)

彼女もその下心をちょっとヤダなぁと思いながらも「本物の美味しいハンバーガー」と言う言葉に引かれちゃったらしく、ランチの時間ならいいわよと答えました。

実はですね、彼女が思い描いている「オシャレなキッチン」の第一条件というのがスパイスラックがあることらしいんですよ。で、この街に住むようになってすぐにウイリアムソノマでステンレス製のキラキラしたラックを買いましてね。そこに並べるスパイスだって勿論1ドルのプラスティックボトルなんかじゃなくて、マコーミックのグラスボトルをドドドドドンと買い揃えました。ただ悲しいかな日本人の性でですね、うちで作る料理は殆ど和食。スパイスラックといえばブラックペッパーばかりが減るばかりでチョット悲しかったそうです。

そして約束の日、彼女はシェフのお兄ちゃんがラックに並んだスパイスをあれもこれも使いまくってくれることを期待し、使いやすいようにボトルを並べかえたりしているとドアベルが鳴りました。

「ブベーーー」
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2004年03月30日

超人ダイナーの秘密基地

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今日はよいこのみんなに超人アメリカン・ダイナーの秘密基地を紹介するよ!

上に見えるのが基地の写真なんだね。壁の上が金ピカで高級そうにみえるだろ。とってもお気に入りさ!
それじゃまず1番の部分から説明していこうね。

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(1)は市の保健所からいただいた許可証さ。「酒を扱ってもいいよ」という許可証も隣に貼ってあるよ。お酒の許可証には二種類あるんだ。お客さんにビールやワインを出せるものと、ウイスキーやジンなんかのスピリッツを出せるものなんだよ。ダイナー基地のはビールとワインの許可証だぞ。

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(2)の手前に見えるのはデニッシュだね。パイ生地でフルーツジャムやクリームチーズを包んだものが一般的だよ。奥にあるのは秘密兵器のDRINK MIXERさ。チョット見えてる細長い棒にカップを突っ込んでアイスクリームソーダなんかをギュイ〜〜〜ンと作っちゃうんだよ。

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(3)の上の方に並んだ小さな箱はシリアルだよ。でもミューズリなんて高級なものはおいてないのさ。あっ、下の冷蔵庫の中にはパイが見えるね。ダイナーはパイが大好きだぜ!

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(4)はお馴染みの調味料たちだ。英語ではCONDIMENTS(コンディメント)っていうんだよ。左から砂糖、ケチャップ、ナプキンを飛ばして、塩、人口甘味料、そして胡椒だぞ。

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(5)冷蔵庫の上のボトルはビールの小瓶だね。アメリカで瓶ビールを注文すると大抵はこの小瓶が出てくるのさ。その隣の箱にはハーブティーが詰まっているよ。ダイナーはベリー系のハーブ茶がお気に入りだそうだよ。冷蔵庫の中にはケーキが見えるね。ダイナーはケーキも大好きなんだ!

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(6)皿いっぱいのパウンドケーキさ。パウンドケーキの名前の由来はね、小麦粉と砂糖とバターと卵を全部1パウンドづつ使って焼いたケーキだからなんだよ。びっくりダイナマイツだね!!

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(7)左の筒の中には粒状の薬品が入っているんだ。消火用なんだよ。右はマリア様だね。ダイナー基地のみんなはクリスチャンなんだ。

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(8)フルーツケースだよ。カウンターから見えるように鏡がついているんだ。メロンとパイナップル、バナナにグレープフルーツも見えるね。ボールにはいってるのはフルーツカクテルさ。

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(9)かっこいい機械が並んでいるね。ダイナーの飲み物は殆どここでまかなえちゃうのさ。左からコーヒーメーカー、湯沸かしポット、ソーダ用のサーバーだよ。ポットの上にはデカフ(カフェイン抜き)コーヒーのティーバッグが見えるよ。でも、コーヒーのティーバッグって言い方はちょっとおかしいよね。

さあ、みんなアメリカン・ダイナーの秘密基地は楽しんでもらえたかな。この写真の右手にはウルトラスーパーキッチンが設備してあって、助手のホセが毎日美味しいハンバーガーをジュージュー焼いてるんだよ。

ちょっと覗いてみようか...
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あ、食事中のようだったね。ゴメンゴメン。

それじゃよいこのみんな、まったねー!
posted by コリスイン at 12:00| コリスケ