2006年05月02日

ほろにがカレー

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カレーの隠し味にインスタントコーヒーを使うひとがいますね。何でもそのほろ苦さがカレーの味を深くするのだそうです。オレが好きなカレーのひとつにもほろ苦いやつがあるのですよ。コーヒーなんか全く入ってないのですが、ほろ苦くてね懐かしい味なんです。

小学生の頃、近所にひとつ年上のシュウちゃんという女の子が住んでいました。ほんとの名前はシュウファとかシュウフォンだと思うのですが、お父さんが香港の人だったのです。ある日曜日にシュウちゃんの家で遊んでいたら、昼時になって、シュウちゃんのお父さんがオレたちにご飯を作るよと言ってくれました。と、いってもお父さんは日本語が話せなかったので、シュウちゃんにそう伝えたあとにオレの顔を見ながらニコニコと微笑んでいました。シュウちゃんはそんなお父さんにひとことふたこと話しかけ、お父さんは「OK」と言いながらキッチンに向かいました。

「パパ、カレー作ってくれるって」
「カレー?」
「うん!パパのカレーすごく美味しいんだよ」
「ボク、カレー大好きだよ」
「わたしも大好き!」

20分くらい待ったでしょうか、お父さんが目の前に出してくれた皿を見たオレは「ん?」と考えてしまいました。カレーの香りはするのですが見た目は中華丼とか八宝菜にそっくりのそれは、オレの知っているカレーとは全くの別物だったからです。おそるおそるそれを口に運んでるオレにシュウちゃんが言いました。

「ねっ、パパのカレー美味しいでしょ!」
「...美味しくない」
「えっ?」
「美味しくないし、カレーじゃない...」
「これ中国のカレーなん...」
「こんなのカレーじゃないっ!」

オレはシュウちゃんの目をそらし、横を向きながらそんなひどい台詞を口にしてしまいました。そして気の強いシュウちゃんのことだから怒って言い返してくるだろうなぁとそっぽを向きながら待っていたのですが、シュウちゃんは無言のままです。そ〜っと見てみるとシュウちゃんは悲しそうな恥ずかしそうな顔をしてうつむいていました。オレはハッとしてシュウちゃんのお父さんを見ると、お父さんは悲しげに微笑んでオレを眺めていました。

オレは「ひどいことをしちゃった」「あやまらなくちゃ」と、すぐ思ったのですが、子供独特の頑固さで「もう帰る」と一言だけ残してシュウちゃんの家から飛び出てしまいました。その後、シュウちゃんやお父さんに会う度に謝らなくちゃ謝らなくちゃといつも思っていたのですが、二人とも全然気にしてない素振りだったのでついつい謝りそびれ、そのうちシュウちゃん一家は香港に引っ越し、オレはそのカレーのことをすっかり記憶の奥底にしまい込んでしまったのでした。

ところがNYのチャイニーズレストランでCURRY CHICKENというメニューを見つけ、何気に注文してひとくち食べた瞬間に思い出してしまったのです。

あぁ、これはあのときのカレーだ...そっか、こんな味だったんだ...シュウちゃんもお父さんも本当はすごく気にしてたよな...何でオレはすぐに謝らなかったんだろう...シュウちゃんゴメン...本当にゴメンな...

えー、これがオレの好きなほろ苦くて懐かしいカレーの話です。
posted by コリスイン at 12:00| コリスケ

2006年04月18日

なんたら OF THE DAY

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アメリカのレストランでメニューを開くと、よく「SOUP OF THE DAY」という文字を目にします。日本語だと「本日のスープ」ということですね。大抵、トマトスープやブロッコリーのクリームスープ、フレンチオニオンスープなどの定番スープが並んだあとに「SOUP OF THE DAY」と書いてあります。

ただ、あまり流行っていない店のメニューですと、定番のスープがなく、ただ「スープ オブ ザ デイ」とだけ書いてあり、客はもうそのスープを飲むしか選択がない訳でして...こういうレストランは何ともつまらないですね。

もっとひどい店になると「スープ オブ ザ デイ」「サラダ オブ ザ デイ」「パスタ オブ ザ デイ」と並び、メインはチキンかビーフの2種類で、最後に「デザート オブ ザ デイ」で締めくくってあるという「飛行機のエコノミークラスか、ここは!」てなものもあったりしましてね。

えー、それでは「CATCH OF THE DAY」は何だと思いますか?

これは「本日の魚料理」のことです。「本日獲れましたる魚は...」みたいなニュアンスですね。ただ「キャッチ オブ ザ デイ」と言ってはいますが、魚の扱いが苦手なアメリカですから「これのどこが今日とれたてなんだよ!おうっ!!」て魚が出てくることも多々あります。

まぁ日本でも「網元直送サバの一夜干し」なんて訳の分からないことを書いてる店もありますから、どこでも一緒かぁ〜てなことでございます。
posted by コリスイン at 12:00| コリスケ

2006年04月16日

カロプリーズ復活祭

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「こんにちはー、カロタンでーす」
「プリタンでーす」
「二人あわせてカロプリーズ、よろしくねっ」
「しくしくしく」
「どうしましたプリタン?」
「あまりに久しぶりにカロタンと会ったので、うれし涙です」
「そうですねー(遠い目)」
「二年ですよー(遠い目)」
「そんなことより、今日はイースターですね」
「イースターは何のお祭りなのですか?」
「キリストの復活祭です」
「じゃあ、プリタンもふっかーつ」
「カロタンもふっかーつ」
「イースターは何食べますか?」
「卵ですね、ゆで卵や卵型のチョコとか...」
「ひよこもよく見ますよ」
「あ、MARSHMALLOW PEEPS!ひよこ型のマシュマロですね」
「うさぎもよく見ますけどチキン料理やうさぎ料理ってないですね」
「うーん、イースターの日にうさぎ食べちゃうのはマズいでしょう」
「なぜですか?」
「それは...敬老の日におじいちゃんを食べるのと同じことだからでっす!」
「むちゃくちゃな理論ですねー」
「さてさてカロプリーズ風イースター料理ですが」
「はーい」
「ゆで卵を六個用意します」
「えーお菓子じゃないのですかー」
「熱したフライパンに少し多めのゴマ油を入れて卵を揚げ焼きにします」
「ち、中華?」
「卵が薄茶色に色付いたらみじん切りにしたスカリオンを一緒に炒めます」
「中華...ですね」
「そこに酒と醤油、砂糖をすべて大さじ2杯入れて、卵にからめて一煮立ちさせたら出来上がりです」
「フツーのおかずですね」
「はい、フツーのおかず、フツーおかず、フツーかず、フッかず」
「ま、まさか」
「フッかつ...復活祭!!」
「しくしくしく」
「プリタンどおしました?」
「その駄洒落オチも相変わらずなので、うれし涙です」
「わーい」
「わーい」
「わーい」
posted by コリスイン at 12:00| コリスケ

2004年07月21日

にせうなぎ

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土用うしの日です。

まあ最近はアメリカでも大きな都市に行けば、ウナギが普通に食べられるようになりましたよね。寿司屋に行けば定番のネタとしておいてありますし、TVドラマ「FRIENDS」でもロスが「うなぁーぎぃー」って叫んでいましたよね。

というもの「てやんでぃ江戸っ子だってーのに、うちのそばにゃ寿司屋なんてぇ、一軒もないんだよっ!」なんて方も多くいらっしゃることでしょう。

そんな貴方のために今回はコリスイン風偽ウナギを紹介します。

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豚肉‥‥1/2Lb
エビ‥‥1/4Lb
塩‥‥小さじ1
片栗粉‥‥大さじ1
海苔‥‥1枚
小麦粉‥‥少々

1)豚肉、エビ、塩、片栗粉をフードプロセッサーにかけて、すり身にします。
2)海苔を6枚に切って、表面に小麦粉を振り、すり身を均一に塗ります。
3)包丁の背などで、すり身にそれっぽいスジを入れます。
4)160度Cに熱した油の入った鍋に海苔を下にして種を入れて揚げます。
5)種が浮かんできたら裏返して更に2〜3分ほど全体に火が通るまで揚げます。
6)別の鍋に醤油と酒と砂糖を1:2:2の割り合いで入れて煮詰めてタレを作ります。
7)タレの鍋に偽うなぎを入れて、両面よくタレをからませたら出来上がりです。

うなぎのコッテリさを出すために豚肉を使っていますが、魚っぽさを出したい方は豚肉の代わりにカレイなんかの白身魚を使ってみて下さいねー
posted by コリスイン at 12:00| コリスケ

他にもあるんだ、こんな罠

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前回の「PEPPER STEAK」とアメリカの中華料理屋で注文すると「チンジャオロース」が出てくるという罠の話ですが、他にもいくつか同じような話がありました。

ステーキ屋でポークチョップみたいな骨付き肉がでるのかなぁと「CHOPPED STEAK」を注文したら「ハンバーグ」が出てきた罠。

デリで言葉尻のバーグからハンバーガーみたいなものが出てくるのかなぁと「JARLSBERG SANDWICH」を注文したら「チーズのサンドウィッチ」が出てきた罠。

まあ、この辺はのちのち英語がもうちょっと理解できるようになったら「バーグのスペルが違う(ヤールスバーグはスイスチーズに似たチーズのの一種)」とか「チョップは包丁でトントン叩くこと」と分かるようになって納得する訳ですが...

サイコロステーキだー!と「CUBED STEAK」を注文したら固い牛の赤身肉に網目状に切れ目を入れた(コンニャクステーキの切れ目みたいなあれですね)ステーキが出てきた罠。

...これは難しかった...

つまり切れ目が四角いのでキューブドステーキなんですよね。んじゃサイコロステーキのことをアメリカじゃなんて呼ぶかと言うと「BEEF KEBAB」なんて呼んだりしますね。これ、いわゆるシシカバブのケバブで、本当は串に指して調理したものしかケバブって呼ばないのでしょうけどね。

薄切りステーキが乗ってるサラダだね、と思って「BEEFSTEAK TOMATO SALAD」を注文したら、ただの「トマトサラダ」が出てきた罠。

これもよくありますね。このビーフステーキトマトっていうのはトマトの種類の名前なんですよ。「ビーフステーキみたいに赤い汁が滴っている」という意味で付けられた名前だとロブじいさんが昔教えてくれましたが...紛らわしい!

え〜、最後は今まで最も訳が分からなかった罠です。

ぜーーったいフライドチキンが来ると思って「CHICKEN FRIED STEAK」を注文したらビーフカツレツが出てきた罠。

ね、訳分からないでしょ?でも注文間違えじゃないんですよ。「フライドチキンのような食感の揚げた牛肉」って意味で「チキンフライドステーキ」なんだそうです。カジモトいわく「アメリカで一番アホな名前を持った食べ物」ということで、いや〜オレも全くもって同感ですね。

そんなこんなで日本のスーパーで売っているガンモドキに「CHICKEN FRIED TOFU」と英語表記を入れてアメリカ人を同じように悩ませてみたいと思う、今日この頃であります。
posted by コリスイン at 12:00| コリスケ